診療体制
矯正歯科では、主に不正咬合、顎変形症および口唇口蓋裂を始めとする先天性疾患を有する患者さんの治療を行っております。
また、日本矯正歯科学会、日本顎変形症学会、日本口蓋裂学会の診療スタッフを中心としたチーム診療制を採用しています。
顎変形症および口唇口蓋裂の患者さんの治療においては顎顔面口腔外科、形成外科と連携し、それぞれの専門性を活かし治療を行っております。
上記のような一般的な自由診療に該当する矯正治療のほか、厚生労働大臣が定める施設基準を満たし、顎の手術が必要となる「顎変形症」、厚生労働大臣が定める「先天疾患」や前歯及び小臼歯の永久歯3歯以上の「埋伏歯」が原因の咬合異常に対しては保険適用で治療も行なっています。
さまざまな症状に対して患者さまのご希望にきめ細やかにお応えするために、じっくりとお悩みに耳を傾け、お一人おひとりに合った装置による矯正治療をご提案しています。
特徴的な診療領域
3次元画像
2001年より顎顔面用コーンビームⅩ線CTを開発し、患者さんの口腔内を3次元的に分析、診断をしています。また、エックス線の照射時間も短いので、低被ばく線量での撮影が可能です。
歯・顎顔面用コーンビームCT写真撮影をし、シミュレーションすることで、顎の骨の変形を どのように治すべきか診断時に大きく役立ちます。(しかし、実際の手術と完全に一致するとはいえません。)
光学印象(画像の撮影により型取りを行う装置)
従来の型取りよりも簡単にお口の中の状態を記録でき、患者さんの負担を減らします。また、現在の状態をリアルタイムで画面上に移すことができるため、お口の中の状況を分かりやすく患者さんに説明することができます。
3Dプリンター
コーンビームⅩ線CTの情報と3Dプリンターを用いて患者さんの骨格等の3次元模型を作成しております。
この技術により、より正確に骨格のバランスや骨の中に埋まっている歯の3次元的な位置関係を正確に分析できるだけでなく、現在の状況を分かりやすく患者さんに説明することができます。
主な対象疾患
当科では、以下のような症状がある方を対象に治療を行っております。
不正咬合
・叢生(八重歯など歯並びがでこぼこしている)
・上顎前突(出っ歯)
・反対咬合(うけ口)
・空隙歯列(すきっ歯)
・過蓋咬合(上下の前歯の咬み合わせが深い) など
顎変形症(顎が小さい、大きい、曲がっているなど、手術が必要な咬み合わせ)による咬合異常
先天性疾患(唇顎口蓋裂など)による咬合異常
保険適用による対象疾患はこちら
矯正歯科治療における一般的なリスクと副作用
1. 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
2. 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
3. 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
4. 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
5. 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
6. ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
7. ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
8. 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
9. 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
10. 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
11. 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
12. 矯正装置を誤飲する可能性があります。
13. 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
14. 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
15. 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。
16. あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
17. 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
18. 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。